経営者の生活再建

  • 自己破産
  • 個人再生
  • 経営者保証ガイドラインによる整理
  • 自宅の確保

経済的な再スタートのために

中小企業の経営者は、金融機関や信用保証協会の借入金の連帯保証人となっているケースが大半です。また、自宅などの所有不動産も抵当権が設定されていることも多いです。 経営者は、会社の整理の道筋をつけることが求められますが、それと同様に大事なのは経営者自身が重い負担から解放され、経済的に再スタートを切ることです。 そのために当事務所は、全力でサポートいたします。

自己破産

自己破産というとイメージはよくないかもしれませんが、実は、法的な責任を限定し、再出発に向けて債務者を守ってくれる手続きといえます。 もともと破産手続きは、破産者の保有する財産を金銭化し、債権者に平等に分配するための制度ですが、めぼしい財産がない場合には、こうした財産処分は行われず、簡易な手続きで終了します。 また、一定額以上の財産がある場合には、破産管財人が選任されることになりますが、実務の運用では各財産の合計額99万円までは「自由財産」として手元に残せることが普通です。 そして、法が定める免責不許可事由がない限り、破産手続前の債務(税金等一部の債務は除く)は「免責」されて、支払う義務はなくなります。経営者の場合は、免責の可否が問題となることはほとんどありません。

個人再生

個人再生は、再生計画により法律で定める最低弁済額を3~5年間で支払い、残額をカットするという裁判所の手続きです。 自宅に設定されている抵当権が住宅ローン債務だけであるような場合に、自宅を確保しながら債務を整理するために活用することができます。 もっとも、一般の再生債務の総額は5,000万円を上限とするため、これを超える場合には通常の民事再生手続きによらなければならず、他の諸条件などにより、経営者保証の整理の手法として適切な場合は少ないのが実情です。

経営者保証ガイドラインによる整理

経営者の場合は、保証債務の額が多額に上るため、債務者と普通に交渉して任意整理を行うことは通常困難です。 この点、2014年2月から適用を開始された「経営者保証に関するガイドライン」(金融機関や保証協会などが対象)は、経営者の個人保証について、多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて100万円~360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討することや、保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除することを定めております。 現実的には、多くの場合、自宅には抵当権が設定されているため、必ずしも自宅を残せるわけではありませんが、今後の活用が期待されています。

自宅の確保

経営者の心情として、住み慣れた我が家を確保したいと考えることは当然です。 自宅に抵当権が設定されている場合には、残念ながら、最終的に自宅を手放さなければならないケースが多いのが実情です。 もっとも、条件が揃えば、親族等による自宅の買い受けや、上記の経営者保証ガイドラインの適用によって自宅を確保できるケースもあります。 当事務所では、こうした自宅の任意売却を含む金融機関の交渉も承りますので、まずはご相談ください。

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