法人の民事再生

民事再生とは?

簡単に言えば、再生債権者(公租公課や労働債務等の優先権ある債務以外の買掛金や借入金等があたります。)の多数の賛成を得て、債権カットを含む再生計画に基づいて、債務者が主体的な立場で事業再生を図るという裁判所の手続きです。
再生の仕方としては、カットされた負債を分割弁済していく「自力再建型」と、事業をスポンサーに譲渡してその対価を債権者へ分配する「事業譲渡型」があります。

再生手続は、通常は、債務者が裁判所に申し立てることによりスタートします。
申立てにあたっては、事業の収益性、手続き費用や手続き中の資金繰りの確保、スポンサーの存在、債権者の動向など、再生可能かどうかを検討したうえで、迅速に準備を進めます。
破産手続に比べると、申立前から再生計画認可までの債務者代理人の業務負担は質量ともに格段に重くなりますが、当事務所は、複数の弁護士と事務職員で対応することで最大限サポートします。

裁判所より弁済禁止の保全処分が出されます。これにより、手形の不渡り処分が回避されます。再生債権の支払いは一部の少額債権等を除いてストップされますので、その分だけ資金繰りが楽になります(反面、掛け仕入れは困難になります。)。
また、裁判所から監督命令が出され、中立的な弁護士が監督委員として、裁判所の許可に代わる同意をしたり、手続きの要所で意見を述べる重要な役割を担います。

申立後に、債務者代理人が主催して債権者説明会を開催し、申立てに至った経緯やお詫び、再生手続きや今後の方針などを説明し、質疑応答を行います。申立直後の混乱を解消し、今後の債権者の理解を得るためにも、とても重要な機会となります。

再生手続開始決定が出されると、再生手続が本格的に進行することになります。
原則として、代表者はその地位にとどまって経営を継続することになります(ケースによっては管財人が選任されることもあります。)。
開始決定後は、債務者代理人を中心に、法律に定める報告書、財産評定、債権認否表などの処理をスケジュールに沿って作成していきます。この間も、リース債権者や抵当権者等の担保権者との調整や、監督委員の許可取得など諸手続を進めていく必要があります。
事業譲渡型の場合には、スポンサーを選定し、裁判所の許可をもって事業譲渡を実行する場合もあります。

債務者と債務者代理人が十分に打合せを行って、多数の債権者の理解が得られ、かつ実行可能な再生計画案を立案し、裁判所に提出します。 再生計画案では、10年以内の弁済計画を立てます。債権カット率はケースによりますが、最低限として破産の場合の配当率を上回る必要があります。
再生計画案に同意してもらえるように、債務者や債務者代理人により、金融機関や信用保証協会など主要な債権者を訪問するなどして、理解を求めます。

債権者集会が開催され、書面投票も含めて、再生債権者の議決権ある債権額及び頭数の過半数の賛成が得られれば、再生計画案は可決となります。裁判所は、法律上問題がない限り、再生計画案を認可します。
認可決定が確定すると、債権者の権利は再生計画案のとおりに変更されることになります(なお、債務免除益に対する課税については、資産の評価損計上や繰越欠損金の活用などにより対応します。)。
ここまでの期間は、概ね半年から1年間といったところです。

債務者は、認可された再生計画に従って、債権者への弁済を行います。
再生計画の認可決定の確定から3年を経過すると再生手続の終結決定がなされ、裁判所の監督下から離れます。
当事務所は、再生手続終了後も顧問契約などで、引き続き会社再建をサポートいたします。